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コラム

2025年10月23日

「なりたい自分」とは本当に自分がなりたい自分なのか問題

 あなたは子どものころ、どんな大人になりたいと思っていましたか。

 私はと言えば、子どもの頃、母親が結婚したのと同じ年齢で結婚したいと思っていました。年の離れた妹がかわいく、自分もこんな風に子どもを産みたい、育てたいと思っていました。結婚も出産もした今となっては、その頃の夢は叶ったのだろうと思います。しかしふと思うことがあるのです。「これは本当に私が『自分の望み』として願っていたことなのだろうか」と。

 子どもにとっては大人の見本は両親です。これは私の場合ですが、その両親が結婚して子どもをもうけているからこそ自分がいるのだから、私が思う「大人」は「結婚していて子どもがいる」がデフォルトなわけです。だから、私が思う「大人になること」とは「結婚して子どもをもうけること」となったのだろうと思います。今では比較的少なくなりましたが、昔のテレビは、当たり前にエプロンをしたお母さんが夫や子どもたちのために料理を作り、それを幸せのように描いていました。時々はそれを覆すような設定のドラマなどもないわけではなかったですが、それはあくまでもイレギュラーのもので、だからこそドラマになるといった様子です。そのようなものに囲まれて、子どもが描く将来の自分像は、両親やテレビで見るようなものに近づいていくのだろうと思います。

 両親や周辺の大人やメディアから「あるべき幸せ像」をすり込まれながら描いた「こうなりたい私」は、果たして本当に心からそうなりたいと望んだものだと言えるのでしょうか。もちろん周辺から影響を受けずに育つことなど不可能であるし、暮らす地域の文化を多かれ少なかれ人はそういうものと受け入れ、適応して生活しています。でもだからこそ、私自身が「こうなりたい」と思ったものになったからと言って、それは「そうなりたかったんだから満足でしょ」と言われていいものなのか!?と思うわけです。望んでましたよ、望んでましたけど。どこまでが自分の中から生まれた望みで、どこからがすり込まれたものなのかなんて、分かる人がこの世にいるでしょうか。

 今の私は「結婚していなかった自分」「子どもを産んでいなかった自分」にはもう会えない。後悔しているわけじゃない、そうだったらどうなっていたのだろう、と思うだけ。そして私がこう思うのも、私が女性で、その時その時の選択で人生が大きく変わる属性であるからなのだろうと思うのです。名前を変え、身体を変え、お腹には不可逆な傷を得た。自分以外の存在を自分より大事なものとして長年を暮らしてきた。それはもちろん親としての責任であると理解はしていて、実際そうしてきて、大変ではあったが嫌ではなかった。いや、嫌な時もないこともなかったかもしれない。

 そんな自問自答を繰り返して、私はまた大学というものに戻り学んで資格を得て今に至るわけですが、それもそれをできる環境にいたからできたことなのです。「嫌なら辞めればいい」とか、「いい環境にするためにもっと頑張れ」とか、「現状は自己責任」とか、クソ食らえなのですよ。今の自分が子どものころなりたかったものに近くてもそうでなくても、それはあなた個人のせいじゃないし、あなた一人の問題でもない。良くも悪くも人は社会の中で生きているから、それに合わせたり反発したり、自身の一部であったりしてしまいます。生きるということは、それらと自分との折り合いをつけながら、悩みながら探っていくものなのだろうと思います。

 あなたが、今なりたい自分の姿はどんなものですか。それはかつての理想と同じですか、それとも違うものですか。今を生きるあなたは何を望んでいますか。もしできるなら、その問いを常に傍らに置いておいて欲しいのです。それこそがあなたを、あなたが望むあなたに近づけるものになると思うから。

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