コラム
2025年4月8日
選択肢はきっと無数にある
新年度が始まりました。入社、入学、新学期など、慌ただしく過ごしている人も多いかも知れません。そんな特別なものもない、ただ昨日の続きの今日、という方もおられるでしょう。春は気もそぞろになりがちで、まだ天気も不安定で体調も崩しがちです。どんな方もうららかな春の日差しを浴びて、少しでもあたたかい気持ちになれたらいいなと思います。
私は臨床心理士になって5年目に入りました。キャリアとしてはまだ浅いので、まだまだ勉強の日々です。その一環として、自分より経験のある先生に自分が関わるケースについて指導を受けています。それはカウンセリングというものが密室の中でカウンセラーとクライエントとの1対1で行われるものであるからこそ、必要なものです。それはスーパーヴィジョンと言いますが、まさにその名の通り第三者から俯瞰でそのケースを見てもらうことで、カウンセラーとクライエントとの間で何が起こっているのか、クライエントの理解のためにまた別の視点があるのではないか、などを考える作業です。複数人の心理士やドクターがいるところであれば、ケースについて共有することでそういう視点からの意見をもらえることが出来ますが、私のように一人でやっているとそうはいきません。もちろんその都度クライエントにとって良い関わりがしたいと思ってカウンセリングをしていますが、人はいつでも不完全なもので、また私も一人の色々な信念や感情のある人間であるので、それがクライエントとの関係に影響することもないとは言えません。ですので定期的にスーパーヴィジョンを受けることで、自分が気づいていなかったこと、自分が思い込んでいたことに気づき、それ以降のカウンセリングに活かすのです。
自分がこれでいいと思って行動していると、人からの意見をうるさく感じたり、自分を否定されているように感じることもあるだろうと思います。もちろん意見する側が相手の存在を否定するようなことを言うのは絶対ダメです。正しいか間違っているかではなく、別の視点からでしか分からないこともあります。それは方法の選択肢や幅を広げることであり、誰かの行いを否定するものではありません。つい人は、選択肢は限られていて、その中からしか選べないと思いがちです。でもおそらくそんなことはなくて、自分の目では見えない選択肢がきっとある。それに気が付くために、誰かに意見を聞いたり、人に相談したりするのだと思います。それは身近な人でもいいし、専門家でもいいのです。
新しい生活や新しい環境の中では、ストレスを感じてうずくまってしまうことも多くあるでしょう。今のあなたの目には、道が一つや二つしか見えなかったり、もしくは真っ暗闇しか見えないこともあるかもしれない。でも誰かの手を借りれば、それが少し見えやすくなったり、視界が開けたりするかもしれません。私ももっと学びを深め、色々な視点を得ながら、悩みを抱えた方の一助になれればと思っています。
(注:助ける顔をして悩む人をだまそうとしてくる輩もたくさんいます!滅べ!)
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