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コラム

2025年5月19日

戦う私たちの物語

 ついこの間GWが終わったかと思ったら、紫陽花が少しずつ咲き始め、もう梅雨が近づいています。九州はもう梅雨入りしたそうですが、こちら近畿地方も梅雨の走りのような蒸し暑い天気が続いています。

 この春は映画館に足を運べる機会が多く、阪元裕吾監督「ネムルバカ」、園村健介監督/阪元裕吾脚本「ゴーストキラー」を続けて観ることができました。最近は映画の公開期間が短く、うかうかしていると劇場で見損ねてしまうので、この2作品を劇場で観ることができたのはとても嬉しかったです。そして最近家で録画していた、これまた観たかったけど観る機会を逃していた「マッドマックス/フュリオサ」も観ました。どれもとても面白かった!私の中では、これらの作品はみんな「女が女を助ける」物語でした。

 私が特に興奮してしまったのは「ゴーストキラー」で、監督も脚本も男性なのに、どうして私がしたいと思っていることがこんなにも分かるんだろうという驚きがすごかった。ざっくり話すと、就職活動中の女子大学生ふみかがひょんなことから凄腕の殺し屋の幽霊に取り憑かれ、ふみかがその気になれば、幽霊が自分の体を使って女性を食い物にするやつらをボコボコにする、という話です。

 世の中には女性に加害するやつらが腐るほどいて、なのにろくに裁かれることもなくのうのうと生きていて、それを許している法律に対しても不信感を持たざるを得ない。男女の身体的な力の差と社会的な権力差は絶対的にあって、それが女性の行動を規制したり自衛を余儀なくさせているという現状に、私はいつも怒りを感じているのです。主人公のふみかも、自分自身や友人がひどい扱いを受けていてもそれをどうすることもできなくて、でも許せないという気持ちを持っている。幽霊を成仏させるためという名目で始まったことでも、力を得た「普通の女性」は、自分のために、自分以外の女性のために、その体をもって戦うのです。マッドマックスのフュリオサも、その知性と行動力を使って、自分の復讐のためだけではなく、囚われた女性達を救う。ネムルバカは大学生のモラトリアムの要素が強いけれど、大学の先輩ルカが後輩の入巣をナンパ野郎や粘着してくる男から守るシーンが挟まれ、それがとても入巣の助けになっている。

 それと同時に、男女の性愛的なものが挟まらないのが良い。ゴーストキラーの殺し屋工藤はふみかの体に入っても戦うだけ、フュリオサも同胞となるジャックとの関係は信頼であり恋愛ではない(恋人という言葉は出てくるが悪役によるラベリング)、ネムルバカは女性同士の先輩後輩における、未来への焦燥感と憧れ。それでいい。フィクションにしろ現実にしろ、女性と見ると恋愛や性愛に絡めずにいられないのは、女性を客体化し、その個人を人間として認知していないことの表れのように思います。

 ここに挙げた作品たちは、何よりも女性を人間として扱っている。考え、苦悩し、その力をもって世界を変えようとしている女性達。それはまさに、私たちの物語なのです。奪うのではなく取り戻すために、襲うのではなく救うために、誰かだけでなく自分のために。戦いながら生きている、そんな私たちの。

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