コラム
2024年10月10日
本屋好きのエレジー
本が無い。欲しい本を求めて本屋に足を運んでも、無い。今月に入って立て続けに2回、お目当ての本を買いに本屋に行っても、無い。無いのです。検索もかけてみますが、在庫なし。今日発売日だよね…発売日当日にもう売り切れてるの?それとも入荷してないの…?それとも私が欲しいと思ってる本がそんなにニッチなの…?それとも発売日に買いに行くくらいほしい本なら最初から予約した方がいいの…?
最近はこんなことが増えました。まず本屋さんが少ない。近所にあった町の本屋さん(それでも隣の駅)は数年前になくなってしまって、本を買おうと思ったら仕事帰りに駅に併設された小ぶりなショッピングモールにある全国展開の本屋さんに行くか、わざわざ電車を乗り継いで大きなショッピングモールまで行かないといけない。私は漫画も欲しいし雑誌も欲しいし心理の専門書も欲しいのでそれらを網羅した大型書店はあれば助かるのですが、それなりに時間と労力をかけないとそこに辿りつけない。今日はいっぱい本買うぞー!と思っている時なら休日にそこまで向かうのですが、ちょっとした新刊は発売日当日にふらっと行った本屋さんで買いたいのです。今は何でもネットで買えるので、今買い損ねている本がネット書店を開けばあるのは知っているのです、知ってはいるのですが。物流問題を考えるとできるだけ自分の足で買いに行きたいし、何より本屋さんという空間が好きなのです。最初から買いたいものが決まっていればネットも便利ですが、あの、どの本を買おうかパラパラめくって決める行為は、本屋さんでないとできない。また、本屋さんの中でたまたま目にした本を手に取り、そのつもりではなかったけれど買って帰るということも、ネット書店ではできないことなのです。
そして本高い!コミックスでもレジでえって思うくらい高い!本を買うことがすっかり贅沢なことになってしまって、文化的にも心を豊かにする余暇としても、生活から離れて行ってしまっています。それでも本を買うことはやめられないから、本屋さんにはずっとそこにあってほしいから、だから本屋さんにわざわざ行って買うようにしているのに…無い…!(最初に戻る)
学生のころ、お金がなくても本屋さんにいれば時間をつぶせました。夢中になった本は夜寝るのを惜しんで読み漁り、朝を迎えたこともありました。子どもが小さいころ、本屋さんに行けば子どもが大好きな本が見つかり、それを見てくれている間は少し心が休まりました。子どもにせがまれ何度も何度も読んだ本は、とうとう空で全部話せるようになって、本が無いところでもいつでも読み聞かせられるようになりました。本はいつでも私の傍らにあって、いつも私を助けてくれていました。だからこそできるだけ本は書店に赴いて買いたいし、知らない本との出会いも大切にしたい。なのにそれがどんどん難しくなってきている。さみしいし、悲しい。
仕方がないから今日また本屋さんに行って、欲しい本が無ければ取り寄せしてもらおう。今日も明日も明後日も、本屋さんに行こう。本が、本屋さんが好きだから。
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