コラム
2024年4月15日
お薬とカウンセリング
心身の不調に対して、お薬とカウンセリングのどちらが効果があるか、などという話を時折耳にします。何らかの心理療法が服薬と同等の効果がある、ということを聞いたことも。
どちらが効果があるか、ということで言えば、一概には言えないと思います。薬の効き方や副作用の現れ方が人によって違いがあるように、カウンセリングも人が異なれば方法も違いますし、心理士とクライエントさんの「合う/合わない」もあるだろうと思うからです。
基本的に、お薬は「身体」に作用するもの、カウンセリングは「こころ」(この場合、気持ちや考え方、ものごとの捉え方など)に作用するものだと考えられます。身体とこころは相互に影響を及ぼしますから、お薬とカウンセリングは、アプローチの方向の違いとも言えます。不調の程度にもよりますが、重い場合ほど、両方が必要になってくると思います。
カウンセリングによる変化は多少時間がかかるものですから、眠れない、不安感が強いなどの身体的な訴えの強い方にはまずお薬で身体的に楽になっていただき、カウンセリングを経ていくことで少しずつお薬が減っていく・・・というのが理想だと思います。身体的にしんどい場合は、カウンセリングを受ける元気もないということもあるでしょう。
私は、お薬とカウンセリングは、自転車の補助輪の両輪だと思っています。患者さん/クライエントさんが自立して健やかに暮らせるようになるまでの支えだと。ですから、お薬だけ/カウンセリングだけだと、その自立までに時間がかかったり、しんどさがぶり返したり、ということもあるかと思います。
お薬とカウンセリング、患者さん/クライエントさんに合っていれば、どちらも効果があると思いますし、どちらか一方である必要もないと思います。最終的に、あなたがその補助輪を外してもっと遠くまで走れるように、それらを活用してほしいと思います。
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